生まれた時は、み〜んな自由だった。


ワンダーチャイルド
赤ちゃんが微笑むと天使がそこにいるように、多くのひとをしあわせな気持ちにしてくれます。
泣いていてもなにをしていても、つぶらな瞳の奥からこれからの未来を心待ちにしている喜びが、からだ全部から感じられます。
うきうきしたリズムを感じます。
時々、この子達には神さまが見えているんじゃないかしら・・・なんて。

本来、子供は好奇心と探究心の固まりで、五感のすべてを働かせて、手、耳、鼻、目、口、足の使える限りで新しいものごとを、
自分で、自分の感じ方で自分の世界に取り入れていきます。
ですから、その感じたままは、その赤ちゃんのはじめての世界の始まりです。
これから歩いていく世界が広がるのです。

その世界は安全であればあるほど、赤ちゃんは『もっと、いいことがある。また、面白いことがある』という100%の期待感に包まれるのです。

残念ながら、成長していく上で、伴う心の痛み(Growing Pain) を味わい、赤ちゃんのやわらかい心の世界から、
波風のある心の世界へと移行し、大人の世界へと歩いていきます
そして、今のこの世では、安全な場所が与えられる赤ちゃんばかりではありません。
子供のこころの何が傷となるのか>   子供が欲求を満たす方法の基本は、All Or Nothing.

<驚き Wonder>
子供の心はいつの世でも、刺激に敏感で興味にあふれています。
知るということは、子供に基本的な生活のルールやしくみを学ぶ機会にもなります。
実験して失敗して驚いたり。
その奥の謎に首をかしげたり、また違う方から触ってみたり、目の前の問題を解決したりする基本的な生活知識を獲得する。
欲求探求の場であり、それをもとに自分を知ることにつながる自己・Self の発見をもたらしてくれます。
それが私たちの視野を広げていってくれる源泉のエネルギーです。


<楽天性 Optimism>
子供は生まれつき楽天的です。外の世界を信頼し、疑いを知らず、すべての人が友好的だと信じ、
この世が希望に満ちた可能性のあふれた世界だと生得的に信じています。

この子供らしい信念は、養育者によって傷つけられることが多いのです。
完全に信じている人からの暴力、虐待からはこの世の全てを真っ黒く塗りつぶされるほどの失望と絶望を受けます。
動物の子のような本能的に危険を回避する能力のない人間の子供は、その養育者の姿をさらに追い求め、その虐待暴力の中でも、
慕い愛してもらいたいと思い続け適応してしまうのです。
適応できなければ、それは全て自分が悪いから愛してもらえない、受け入れられないと思い込んでしまうのです。
そして、子供の開放的な好奇心や人を安心して信頼する楽天的な、自由な心は
破壊されます

それは、この世は安心できない、暴力的で緊張した世界だということを学んでしまったからです。
そして、この危ない世の中で自分が安全にいられるための、細工を試みるようになります。
嘘をついてでも、演技をしてでも自分を守ろうとしていきます。

人との交流に信頼感は大切です。
そして時には傷つくこともあるという楽天性をそなえることも、とても大切です。
その両方を失うことで、その子は人と交流するための言葉を失うのです。


<純真さ Naive>
この世は子供にとって、とても多くの謎に富んでいます。
その純真さ天真爛漫さで、子供は禁じられている物に触れたり、味わったりしてしまいます。
ですから、養育者には忍耐強さと理解力が必要になります。

子供は無邪気さのうえに小細工を覚えて、大人の心をもてあそぶような大泣きをしたり、演技をして見せます。
それでも冷静で忍耐のある養育者の愛によって、間違いを正され、危険な状態からは擁護されて、安全に生きて行けるのです。

この何でもやってみよう、何でも調べてみようというワンダーチャイルドの純真さはその人自身の経験や世界、
将来を想像する大きな財産になります。

養育者に余裕がないと、子供の無邪気さを理解できずに、子供に自責の念を強要するようにもなります。
人の中のワンダーチャイルドは、人が大人になっても生きていて創造のエネルギーを放ってくれるのです。
<依存 Dependence>
子供達は誰でも生まれつき貪欲です。しかし、自分だけの力でその欲求を満たすことは出来ません。
ですから必ず誰かに依存しなければ満たされない依存欲求になるわけです。

養育者がこの依存欲求を発達の段階に合わせて気づき調節していくことで、子供は成熟のステップを進んでいけるのです。
しかし、養育者のInner Childが傷ついていると、子供の欲求を満たしてあげる余裕はありません。

子供の欲求に対して怒りを感じ、養育者の感情をぶつけ、自分の要求のはけ口としてしまう事もある。
そして、自分自身の欲求を満たすことが重視されます。

子供の依存心は、外の世界の人に対する愛着を形成させて、人との関係を育み、触れ合っていく楽しさを受け取ります。
その中で、自分への愛、自分の価値、自分が必要とされる喜びなどを学びます。
この依存的欲求の成長段階を傷つけられた子供は、外界とのかかわりに幻滅し、孤立してひきこもったり、逆に無差別に
他人にべったりくっつき利用し、ジェラシーの目をもって自分との関わりを強要します。
他人との
距離感、境目の判断に混乱をまねく状態になるのです。

<情動 Emotions>
笑うと泣くのとは、子供に与えられた唯一の生きる為の表現です。
自由に泣いてもいい、笑ってもいいという状況は、子供の情動表現をおおいに育てます。
悲しい時に泣き、嬉しい時に笑い、腹立たしい時に怒り、気に入らない時にふくれる、嫌な人を嫌うなどは、人の正しい感情表現です。

養育者の
Inner Childが傷ついている場合は、この当たりまえの子供の感情表現を押しつぶすような言葉で子供を傷つけます。

「うるさい、大きな声で笑うな」「そんなに泣いて何が言いたいんだ」「いつまでもふくれてると外につまみ出すぞ」
「なんだその顔は、大事なお客さんが来てるのに、機嫌よくしろ」「いい顔しないと、ぶつわよ」などなど、
正しい言葉としての養育がなされず、情動表現に対するマイナスのイメージを植え付けるのです。

『自分を作っていないといけない』という状況は、[あるがままの私]という自己に致命的な打撃を与えます。
その人の魂レベルから、傷をつけてしまいます。

この傷を癒して再生させない限り、その人の本当の人生は始められません。
まだ痛みの記憶の中で生きている 
Inner―Childの本当の望み、感情表現は表に現れません。

治療により、傷が癒えてきた時、解放された笑い顔を少しずつ見せるようになります。
自然な美しい顔の表情が出てきます。
安全な空間の中でのみ、人の喜びは表現されるのです。

<回復力 Resilience>
若い人の回復力は心身ともに素晴らしいものがあります。
歩きたての子供がイスの上によじ登り、そこから落ちて泣き出しても、数分もするとまた立ち上がり、違う方法で挑戦します。
これも回復力です。
この回復力をもとに人はいろいろな苦悩から立ち直るのです。

子供の強情さや頑固さの中には物事を自分で処理しようとする、勇気も秘めているのです。
時には怠惰だったり無作法だったり、それも子供の柔軟性が現れているのです。

傷ついたInner-Childを持つ養育者によって、この柔軟なチャレンジ性が傷つけられると、無気力、無感動に傾き、
苦悩から回復しようというエネルギーや情動も薄れてしまいます。

<自由な遊び心 Free Children’s Play
子供は生まれつき自発的に遊びを創造し積極的に攻撃的に探求し、その繰り返しの中で自分の力を強化し、勝利感を味わったり
敗北感を味わって、限界というものや、物事の加減を知っていきます。

子供の持つ想像力で能力を超えた飛躍をし、その能力をさらに伸ばして自分の世界を大きく広げていけるのです。
この時、子供の自由奔放、天真爛漫さを、大人の都合で極度に抑えられると創造性の飛翔が止まってしまいます。

無邪気に何かに夢中になれることは、大人になっても、大切な心の機能として、人生をエンジョイするのに大切です。

<独自性(唯一無ニ)Uniqueness
人間は生まれながらにして、自分の存在の尊厳性や神秘性を感じる能力をもっているものです。
しかし、幼い子供にとってのその感覚はとても不安定です。

養育者がその場その状況で、その子の尊厳性をフィードバックして、教えかつ言葉で応えてあげることで、絶対のものとなっていくのです。
自分の貴重性、唯一無ニという感覚を統一できると[自己の受容、自己への愛]という、最も大切な精神性が完成します。

養育者の「あなたは私のかけがえのない存在だ」という姿勢は、
わたしはたったひとりの唯一の人という尊厳、自尊心を育てます。

この世に、この星に、たった一人のわたしがここに生かされている。
そして、
幸せになるために生きる権利があるという感覚は、その子の一生を通して、精神活動の最高の原動力になります。
「わたしは、ここに生を受け、愛されている」ということの意味を、告げ知らせてあげるのは
養育者の必然義務です。

<愛 Love
無条件に愛され、慈しまれ、受容され安全に擁護され育った子供には、純粋な愛を人に発信する能力パワーがあります。

その愛が与えらなかった場合、その傷はふさがることなく、愛を切望し、盗んででも人の愛を自分へ向けさせようと必死になります。
それでこの世の虚しさを埋めようとするのです。

しかし、愛の意味のわからない人が真実の愛を手に入れることは、至難の業です。
人を愛する前に自分を愛せないなら、人への本当の愛は生まれる術がありません。

傷ついた
Inner Childの望む愛の道は深く苦悩に満ちていて、人から与えられることばかりを飽くことなく渇望し、
相手を疲れさせ、ボロボロにしていく奴隷的愛情要求になります。

「あなたを愛している。あなたは愛されている。あなたがなにをしても私はあなたを愛している。」
この無条件の愛は、この星に住む人類の平和をも創造出来る、大きなエネルギーです。

傷ついた
Inner Childの心はその人の信念体系の中核をなします。(コア・マテリアル)
その傷つき方によって、様々な神経症や性格障害をつくります。

それは子供時代の経験が産んだ葛藤や心の傷によって作られたもので、生涯にわたってその心の傷を解決できる日まで、
過去の傷つき場面に戻るような反復をする。 (反復脅迫・繰り返し味わってみようとする) 
確かめ味わうことにより、そこから癒されたいと、本能的に感じているのです。

 
  子供の頃の傷つき体験や、解決していない感情・不安は、環境の変化が生じる場面でも、急浮上することがあります。
  結婚、妊娠、不妊治療、出産、育児、移住、別離、離婚、病気、退職、解雇など、さまざまな人生の転機に、
  不安感が急激に強くなったり、心の不安定状態に悩むこともあります。

  それは、心に傷を負った子供時代に重なる状態で、潜在意識のフラッシュバックとも言えることで、
  多くの人が体験します。
 
そんな時は、一人で我慢せずに、専門家にその状態を話してみるとよいです。

  原因を分析したり、セラピーを取り入れていくことで、いろいろな気づきを通して、新しい感じ方を育てていくことができます。

  マタニティブルーや育児ブルーも、とても辛いものです。
  しかたないとあきらめずに、少しへこたれて、誰かに甘えてみるのも良いことです。


  少し自分を大切にしてあげてください。

  疲れた自分を理解し、受容してあげましょう。



 インナーチャイルドの癒やし 


幼少期に、寂しい・苦しい感情を
頻繁に味わった子供は、ふつうの人に比べ
脳内快楽物質の、分泌レベルが
低い傾向になる。

時には、パニック発作などの症状を発症する。
心理療法と同時に、セロトニン再取り込み防止剤
などの投薬療法も行われます。