潜在意識と表面意識

この2つの意識は、言葉を変えると[ 無意識と意識、
深層心理と表層心理、真の自己と自我、
右脳と左脳、長期記憶と短期記憶、
と表現される人のコミュニケーション機能です。

人間の場合、この2つの意識の分配領域は、
潜在意識に約90% 、表面意識に約10% という
機能力になります。

そして潜在脳である右脳の記憶能力は、
左脳の100万倍という容量をもっています。

そして、潜在脳には太古からの人類の生きる知恵のような、
生存の為の能力もインプットされています。
太古の人間は命の危機に直面した時、
「逃げるか、攻撃するか」のどちらかの判断で行動し、
生き延びていました。
ですから、長続きするストレス制御性を持っていませんでした。

それは、この高度な技術成長期の人の世界に於いても、
全く変わっていません。

結局、人間のストレス抵抗系は、不完全のまま太古より
継続されているわけです。
人のストレスに対する反応の原点は、
ESCAPE  Or  FIGHT という単純なものなのです。
右脳は、左半身の感覚や運動神経を司り、
音楽的、直感的、イメージ、総合的、絵画的、経験的、
パターン認識的、な情報処理機能を持つ。

左脳は、右半身の感覚や運動神経を司り、
言語的、論理的、文字、分析的、記号的、
な情報処理機能を持っている。

左脳に比べて、右脳は、
イメージや経験的な記憶体系を持っているので、
何か「これはまずいぞ!」といった経験を深く根強く無意識的に、
ビジュアル信号としてインプットします。

それは、赤ちゃんの時から経験したことが全て入っていますから、
すごい情報量がつまっているということです。
生まれてからすぐに、我々はオムツのお世話になります。
それは、ごく当たり前の事として母親、父親、お婆ちゃん、お爺ちゃん、
保育所や乳児院の保母さんが汚れるたびに、取り替えてくれます。

しかし、そのすこやかなオムツ時代も、ずっとずっと許されるわけではない。
少し成長していくと、オムツを取るトレーニングが待っています。

今まで快適だったおむつから、おまるやトイレに座らされて、
失敗すると、駄目出しがくる。

これがまさに、「失敗は駄目なんだ!」をインプットする初めての時なのです。

その日以来「私は、このままでは駄目なんだ。成長しないといけないんだ。
私の今のままでは認められないんだ。」

『恥じをかきたくない。ほめられる事をしよう。めんどうをかけたくない。
かっこ悪いところは人には知られたくない。嘘をついておこう。』
などという大きな心の圧迫感やストレス・傷が生まれます。

そのエピソードにより学習した感覚が、潜在意識の奥にインプットされ、
その人のムードを織り成し、性格となって現れます。
性格のパターンが少しずつ、形つくられるのです。

これを<オムツ時代の呪い>とでも名づけておきましょう。
幼稚園、学童期

日本の団体生活の中では、出る釘は打たれる。
【 みんなと同じ、過去の慣例に従順に】しないと、
◎印にならないという傾向があります。

『正直に思った事を、そのまんま言う』ということは、
まとまりを欠くと判断される場面は多いのではないでしょうか。

これも私達の脳の奥深くに[他人からのささやき]の如く、
深くインプットされていきます。

こうして回りの環境からインプットされる、無意識レベルの記憶の中に、
禁止令と対抗司令がある。

禁止令 (Injunction): 言葉にならない家族などからのメッセージ
子供の態度、行動に対する家族または環境内の感情的な
反応(ひきつった微笑み、しかめっつらなどで表現される)、
人の 無意識内にいるチャイルド的な態度・言葉。

これは、1歳から5歳くらい迄に少しずつ形作られ、
4歳から12歳くらい迄の間に、その子供の人生脚本の
基本原形になっていく。

対抗司令(Counter Injunction): 影響を与える人から
与えられる人へ言葉で与えられるメッセージ。

会話例:
テストの結果『75点か。まあいいだろ。』と思って家へ帰ると、
A「あなたは、とても頭がいいけれど、今日はちょっと疲れているだけよ。
良く頑張ったじゃない。」と母達が言う。
そして「かぜ気味だったしね。そんな顔しないで元気を出して。」
本人C『かぜ気味だったから、75点ぼっちだったてことか・・・?』

これは、その子自身がそのままであってはいけない、
負け・限界は認められないという、インナーメッセージと
脳は受けとめます。

潜在意識の中には《大人に誉められる為に、じゃまをせず、
独自の世界で自分の感情を殺して生きて行こう。》という

子供時代のあなた
が形造られます。
間違った情報から造られた、人生脚本の基本パターンが形成されます。

ちいさな時は、矛盾を含んだメッセージを、避けることができません。
「いつまでも、かわいい子供のままでいろ。」=成長してはいけない。
それとうらはらに「まったく手がかかる。」=小児であってはいけない。
「そんな顔をして、何が気に入らない。」=自分の思いを表現してはいけない。

すると、どんどんと自分を責め「自分が悪いのだ。自分は駄目なんだ。」
という事が、90%の潜在意識に記憶されます。

このような幼い頃の経験から受けた傷のインプットは<魔女の呪い>
とも表現され、将来的にも、パワフルな力を持って存在するのです。

そして、その人の人生を駆り立ててしまう、ドライバ−
<完全であれ、強くあれ、一生懸命やれ、急げ、泣くな、わめくな>
という心身を制御コントロールするパターンを作ってしまうのです。

表面意識の記憶は、教育・学習によって簡単に変えられるが、
深層意識・潜在意識の記憶は、自らが体験する経験によってのみ
変えることが出来る。

右脳は、ビジュアル的に記憶をインプットするので、
作業記憶としての長期に影響する記憶となるのです。

小さい時の傷つき体験など、
90%の潜在意識の中に意識されずにインプットされている
知られざる記憶。
これは、後々私達の人生の中でも、90%以上の影響力を持って
実生活の中に顕現されるのです。

大切なのは、何か問題が浮き彫りになった時は、
自分が深い記憶の中に抱えている経験をひも解く必要があります。

自分の深層意識の訴えを分析し、潜在意識の記憶とコンタクトする
作業が大切です。

90%の知られざる自分に気づくことは、
あなたに大きなパワーと変化をもたらすことにつながります。